基本情報
水系 | 荒川水系 |
種別 | 一級河川 |
延長 | 5.9km |
流域面積 | 11.66k㎡ |
地域と釣り人たちに愛される歴史ある川
荒川中流部の西側に位置し、さいたま市、川越市、富士見市の市境を流れているびん沼川。新河岸川放水路を通じて新河岸川とつながり、荒川と合流する一級河川です。新河岸川の洪水時には南畑排水機場から荒川に排水して、浸水被害軽減に寄与しています。
「なぜ沼という名前がついているんだろう」と疑問が湧くかもしれませんが、大正〜昭和まで遡るとその答えがわかります。もともとびん沼川は、荒川の本流でした。しかし当時の荒川は川筋が蛇行しており、幾度となく水害が発生する危険な川。人々の生活を脅かす存在でした。そこで、大正7年から昭和8年にかけて、洪水対策として川筋を直線化する大改修工事がおこなわれます。
その過程で荒川の一部が切り離され、河跡湖(かせきこ)として残ります。流れが堰き止められて出口のない瓶のような形から「びん沼」と呼ばれるように。その後、新河岸川からの水を荒川へ流す際に、再び川として利用されることとなり「びん沼川」が誕生しました。
現在、びん沼川にはへラブナ、コイ、ブラックバスなどが生息しています。特にヘラブナ釣りは有名で、釣りの専門誌に取り上げられることも。たくさんの釣り人たちが訪れる人気スポットとしても親しまれているんですよ。
市街地にほど近い場所にありながら自然豊かできれいな環境が保たれているのは、地域の方々の努力によるもの。ここでは近隣の町内会や企業・団体の方々による河川美化活動が昭和62年から30年以上続いています。
釣り人だけでなく、地域の人々にも愛され守られているびん沼川。清掃活動の様子はイベントレポートにもまとめていますので、ぜひそちらもチェックしてみてくださいね。
新河岸川放水路・びん沼川環境浄化運動-30年以上続く河川一斉清掃- | SAITAMAリバーサポーターズ
川沿いの広大な公園で、レジャーと自然を満喫!
びん沼川のほとりには、調節池としての機能も持つ「びん沼自然公園」があります。その広さは9.8ha!東京ドームが2個収まるほどの広さです。この広大な敷地には、パークゴルフ場や展望台・複合遊具、手ぶらで利用できるバーベキューやキャンプ場など、子どもから大人まで楽しめる施設がたくさんあります。特に、高さ13mの展望台から望める田園風景と富士山の美しさは必見ですよ。
公園の対岸には桜並木が続いており、春になると見事な花を咲かせます。また、「カブトムシの森」や「メジロの森」など、自然を満喫できるスポットで過ごすのもオススメ。施設で思いっきり遊ぶのもよし、自然に囲まれながらのんびりするもよし。いろいろな楽しみ方ができる公園です。
地域に語り継がれる伝説の地「昼間ノ渡シ」。
びん沼自然公園から約1kmほど北上すると、「昼間ノ渡シ」と呼ばれる渡し場の跡があります。ここには徳川家康にまつわる次のような伝説が残されているんです。
――関東入府直後の天上19年(1591年)、家康が川越から岩槻に向かう道中、北条氏の残党に追われていた。この渡し場にたどり着いたのは真夜中だったが、村人たちが総出でかがり火をたいて家康を迎え入れた。その光景が昼間のように明るかったことから、家康は渡し守に「昼間」の名字と土地を与えたという。
この伝説を再現しているのが「昼間ノ渡シ火まつり」。明治末期に橋が架けられてから昼間ノ渡シは放置されていましたが、近年、地域住民の手によって整備されました。それをきっかけに、例年11月3日の「文化の日」には地域の文化遺産を守るイベントとして火まつりが開催されています。
世代を超えて守られ続ける地域の魅力
独特な地形と豊かな自然環境、歴史的背景など、たくさんの魅力が詰まっているびん沼川。この自然や風習は地域にとって大切な宝物です。これから先も地域の人々に守られながら次の世代へ、そしてまた次の世代へと引き継がれていくことでしょう。