荒川をボートでくだりながらゴミ拾いに挑戦!

リバサポマッチング企画として、2021年11月14日、長瀞カヌーヴィレッジ(秩父郡長瀞町)を起点とした清掃イベント「リバークリーン@ 荒川」が開催されました。

このイベントは、長瀞町地域おこし協力隊・清水勇多さんが運営する「WITH RIVER」プロジェクトが主体となり、リバサポのマッチング企画として、荒川のゴミ問題の可視化を目的に実施されたもの。また、荒川を舞台に埼玉県を縦断するSUP(スタンドアップパドルボート)レース「ULTRA A80」との同時開催を実現。

WITH RIVERとULTRA A80……2つの川を愛する団体がタッグを組むことで、川でのアクティビティーや、安全な遊び方を伝えつつ、同時に、環境保護への関心を高めていこうというコラボ企画となりました。

※「ULTRA A80」についても、近日その取り組みをご紹介する予定です。

マッチング企業サポーター紹介

≪WITH RIVER≫
長瀞町地域おこし協力隊・清水勇多氏が運営するプロジェクト。「RIVER ECONOMY」というコンセプトのもと、川を軸として豊かな自然環境を改善しながら地域経済の発展に貢献する活動を展開しています。

≪ULTRA A80≫
その名の由来は、ズバリ「荒川80km」。リバークリーンと同時開催となった、荒川をSUPで下るダウンリバーレース。今年は野生動物保護の観点などから、スタート地点を当初予定していた長瀞から荒川大橋へと変更し、午前9時にスタート。ゴール地点戸田公園までの距離は53 kmと短縮されましたが、制限時間以内にゴールできた選手は全体の約半数となるなど、それでもなお“ウルトラ”なリバーレースとなりました。

※「ULTRA A80」についても、レポートを掲載する予定です。

イベント概要

  • 日時:2021年11月14日
  • 場所:荒川上流・下流
  • 参加人数:16名
  • 主催:WITH RIVER
  • 共催:ULTRA A80
  • 協力:SAITAMAリバーサポーターズ
  • 協賛企業:カヌーテ ラフティング/ワンダーパラダイス長瀞/ネイチャーナビゲーター 長瀞ベース/アウトドアセンター長瀞/カヌーヴィレッジ長瀞

川を愛する幅広い参加者が集結!

当日は天候にも恵まれ、紅葉シーズンがはじまった秋の長瀞は絶好のリバークリーン日和! リバサポのLINEからイベントを知り、親子で駆け付けてくれた方から、町役場の有志、普段から近隣の清掃活動に参加している方、長瀞カヌーヴィレッジの常連さん、さらには、WITH RIVERのテーマソングを手がけたボーカルグループ、Snugのみなさんまで、さまざまな参加者が集まってきました。

まずは、装備を調えオリエンテーションへ。その後、ボートを用意して、みんなで川まで運んでいきます。

ボートの扱いに慣れている方も、全くの初心者もいるため、ボートの乗り方、パドルの使い方などを基礎からレクチャーを受けていただき、安全対策も万全に。レクチャーを終えると、3艇のグループに分かれ、荒川の流れに元気よくこぎ出していきました。

紅葉を楽しみながらのゴミ探索へ

写真で見ている限り、長瀞周辺は風光明媚な清流そのもの。「ゴミなんてホントにあるの?」なんて思う方もいるかも知れませんが、埼玉の川の中でも特に人気が高い観光地であり、アクティビティも豊富なエリアということもあり、ゴミが集まりやすいスポットが点在しているのも事実なんです。こうした状況を知ってもらうのも、リバークリーンの目的のひとつ。ということで、一行はおよそ7kmの距離を下りながら、3ヵ所のスポットにボートを停めてゴミ拾いを進めていきます。

およそ160キロものゴミを収集

午前11時から14時まで行われた清掃活動で集まったゴミはおよそ160キロ。ビニール、ビン、カン、ペットボトル、発泡スチロール容器といった一般的なゴミだけでなく、傘、ヘルメット、野球ボール、灯油タンク、農薬の瓶、杭鉄クズ、テレビなど、多岐にわたるゴミを回収することができました。なお、今回は重すぎて断念した鉄クズも入れれば総量は200キロを超えているとのこと。

参加者の皆さんからは「楽しかった」という声が上がると同時に、「ペットボトルくらいかと思っていたが、それ以外のゴミの方が多くて驚いた」「きれいな川なのに一歩それるとゴミがたくさんあってびっくりした」「思ったよりもゴミが多かった。ガイドさんの話では普段はもっとゴミが多いときもあると聞いて驚いた」「普段から川のアクティビティを楽しんでいるけど、いつもと違う視点で参加できてよかった」といった感想が。

キレイに見える荒川上流の長瀞でさえ、こんなにゴミがある……参加者の皆さんにそのことを体験しながら学んでいただき、新しい問題意識を持ってもらうきっかけになったようです。

ULTRA A80のゴール地点、戸田公園でゴミを展示

さらに今回は、長瀞周辺での清掃活動で回収されたゴミの一部を、同時開催されたULTRA A80のゴール地点である戸田公園に展示。上流から下流へと下って行くことで「川のつながり」を体感するレースと同様に、「下流も上流も関係なく、荒川というひとつの川が、ゴミというひとつの課題を抱えていること」を伝える試みとして注目を集めました。

この展示では、上流と下流でのゴミの質の違いが可視化され、上流部の人は「下流部の人達のためにゴミをなくそう!」という気持ちを、下流部の人は「上流部がきれいにしてくれるから我々も頑張ろう!」という気持ちを、それぞれ共有するきっかけとなったようです。

また、ゴール地点には戸田公園を拠点に事業を展開し、リバサポにも積極的に参加されているナックプランニングのスタッフと、マスコットキャラクター「とめきち」も駆け付けてくれました。この集合写真は、荒川という流れを自ら下ってきた選手、荒川の上流で活動する人たち、下流で活動する人たちがひとつになった象徴とも言える一枚荒川にかかわる多くの人の想いがひとつになっていくための第一歩とも言えるイベントになったと言えそうです。

集まったゴミは分別されて一部は電力に

清掃活動は、ゴミを集めたら終わり……ではありません。大量のゴミは、翌日、町役場のみなさんと一緒に分別されてからクリーンセンターへと運ばれていきました。リサイクルするには、ルールに則った分別が必要なんです。さまざまなゴミが混在してしまっていたため、分別にかかった時間は1時間ほど。臭くて大変な作業だったそうです。「次回は分別しながら回収していきたい」という改善点も見えてきました。

因みに160キロのうち、80キロを占めていた燃えるゴミは秩父クリーンセンターでアップサイクルされて電力になり秩父地域の電力会社に分配されたとのこと。「ただのゴミが生活を支える電気になるのは非常に興味深い。いろいろ考えさせられました」と、関係者も語っていました。

マッチングイベントを終えて

最後に、イベント後に、今回のリバークリーン@荒川を企画したWITH RIVERの清水勇多さんにお話をうかがいました。

清水 今回は、長瀞の川の事業者のみなさん、町役場のみなさん、一般のお客様と一体になってリバークリーンができたことが普通に嬉しかったです。今後は定期的にラフティングリバークリーンを開催して参加者を集めていきたいと考えています。通常のラフティングと同じ正規金額での開催を目指すためには、「ラフティングリバークリーン」という価値を構築していくことが課題ですね。地域おこし協力隊として企画しているWITH RIVERでは、リバークリーンと各事業者様の特色に合わせたオリジナルツアーメニューの開発などもしていきたいと思っています。

とのこと。今後も、川のアクティビティ×環境問題のかけ算で、さまざまな企画を打ち出してくれそうです。ただ、川を愛し、楽しむのではなく、川の環境問題をより広く共有する場を広げ、より多くの人が、末永く愛せる川、楽しめる川を維持していく。そんな願いをかたちにしていく、大きな一歩になったのではないでしょうか。

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