河川の管理者がいるから、
安全に楽しく暮らせる!
川と水辺の楽しみ方に対する素朴な疑問にお答えしつつ、さまざまな観点から参考になる知恵をシェアしていく「川の知恵袋」。今回は「河川の管理者」に関する知恵をご紹介します。
……といいつつも、「河川の管理者って私たちに関係あるの?」と思いますよね。実は河川は誰からも親しんでもらえる存在であり続けるために、そして大切な水源や人の命を守るために徹底した管理が必要になります。
たとえば河川敷やダムの点検・補修、そこで暮らす生き物たちの保全も河川管理のひとつ。大雨が降ったときなどは、ダムや水門などを機能させて水害を未然に防ぎます。また、魚が川を遡上できるように川の途中にある堰などには魚専用の道(魚道)を作って、管理しています。
つまり、いつも川へ遊びに行く人もほとんど川と接することなく過ごしている人も、河川の管理者から恩恵を受けています。
では、その河川の管理をしているのは一体誰なんでしょうか?実は、これまで川図鑑などの記事で登場してきた「一級河川」という言葉が、その答えに関連しているんです。詳しく見ていきましょう。
「一級河川」は国土交通大臣が管理。
ただし「指定区間」は都道府県知事が管理を任されている。
「一級河川」という言葉を知るために押さえておきたいのは、「一級水系」というキーワード。「一級水系」とは、1965年に施行された河川法によって、国土保全上または国民経済上特に重要な水系として政令で指定されたものです。埼玉県では、「利根川水系」や「荒川水系」がこれにあたります◎
この一級水系に係る河川のうち、河川法による管理をおこなう必要があり、国土交通大臣が指定した河川が「一級河川」!そして一級水系以外の、公共の利害に重要な関係がある水系で、都道府県知事が指定した河川を「二級河川」といいます。
なお、埼玉県内には二級河川はありません。埼玉県が管理している川はない、ということになりますが……「実は国土交通大臣が指定した「一級河川」には県が管理している区間があるんです。
一級河川の管理を担う国土交通大臣は、区間を指定して河川管理者の権限の一部を留保しつつその管理を都道府県知事におこなわせることができます。こうした区間を「指定区間」と呼びます。実は埼玉県ではほとんどの一級河川を知事が管理しています! たくさんある埼玉県の管理河川はこちらからチェックしてください。
このような一級河川・二級河川以外にも、河川法の規定の一部を準用し市町村長が管理する「準用河川」、「普通河川」があります。普通河川の実際の管理は、市町村などがおこなっています。
特別な使い方をしたいときは
管理者へ申請を。
イベントや撮影などで一時的に河川敷を使いたい、工作物を設置したい、環境調査をおこないたい……などの要望がある場合は、河川の管理者(各県土整備事務所や国土交通省の事務所)への申請が必要になります(もちろん、個人のお散歩などであれば申請は必要ありません)。
誰にどんな申請書を出すかは、各管理者のWebサイトなどで確認が可能。無断使用にならないようしっかり申請手続きをおこない、安全に活用していきましょう!