基本情報
水系 | 利根川水系 |
種別 | 一級河川 |
延長 | 322km |
流域面積 | 16,840㎢ |
昔からその名をとどろかせる、日本一ビッグな川。
誰もが学校の授業で習ったであろう、日本で一番流域面積が広い川「利根川」。信濃川・石狩川とともに日本三大河川として知られ、長さにおいては日本No.2の地位を誇ります。
埼玉県内では、本庄市、深谷市、熊谷市、行田市、羽生市、加須市、久喜市の中を流れています。他都県を流れる本流、支流を含めた全流域面積は約16,840㎢におよびます。数字が大きすぎて規模がわかりにくいですが……実はこれ、余裕で埼玉県が4つ入る広さなんです!
「利根川の川瀬も知らす ただ渡り 波にあふのす逢へる君かも」と、現存する日本最古の歌集『万葉集』にもその名が書かれている利根川ですが、その「トネ」という名前の由来は諸説あり、何が起源かはわかっていません。
とにもかくにも、古くからその名をとどろかせる存在感の強い川であったことは間違いないでしょう。
関東を縦横無尽に暴れまわった、長男坊。
そんなビッグすぎる利根川、実はあるニックネームを持っています。それが「坂東太郎(ばんどうたろう)」。
“関東にある日本一の大河”という意味ですが、流域面積の大きさだけでそう呼ばれたのではなく、日本屈指の「暴れ川」であったことも大きな由来となっていたようです(余談ですが、利根川と同じく「日本三大暴れ川」として知られる筑後川は「筑紫次郎」、吉野川は「四国三郎」と呼ばれています)。
江戸時代までは、関東平野に乱入しながら南下し、荒川や入間川と合流しながら東京湾に注ぐという流れを描いていた利根川。昔から幾度となく氾濫を繰り返し、その都度人々の生活や農業に大きな被害を与えてきました。これが「暴れ川」とされてきたゆえんです。
“上手に付き合う”治水対策で、住民にとっての大事な水道に。
利根川のスタート地点は、群馬県最北端に位置する大水上山(おおみなかみやま)。山頂直下の三角雪渓のひとしずくからはじまり、群馬、栃木、茨城、埼玉、千葉、東京の1都5県を流れていきます。
この流域に住んでいる人数は、約1,309万人。利根川の流域面積は日本国土の4.5%ほどにあたりますが、流域人口はなんと日本総人口の約10%にもおよびます(※人口:平成22年国勢調査より)。
利根川の水は、昔から農業用水として利用されてきたという歴史を持ちます。しかし、昭和30年代以降、首都圏の産業の発展や人口集中によって、生活用水・工業用水の需要が急増。現在は1都5県の約3,055万人の飲料水に使われているほか、農業、工業、発電などのさまざまな用途で利用されています。
かつては人々の暮らしを苦しめることもあった利根川も、今では人々の暮らしに深く根付き、なくてはならない存在となっている、というわけなんですね。
その裏には、やはり前章で書いた数百年におよぶ複数の改修工事の功績があります。今では、ダムや調節池、導入路、用水路などのさまざまな工夫を施すことで、市民の暮らしを守り、発展させています。
これからも、適切な治水対策で上手に仲良く付き合っていきたいものですね。