基本情報

水系利根川水系
種別一級河川
延長26.7km
流域面積182.3k㎡

地域の農業に欠かせない元・利根川。

「大落古利根川(おおおとしふるとねがわ)」は、杉戸町と久喜市を起点とする利根川水系の一級河川。「大落古利根川」という漢字だけを見ると、なかなかどう読めばいいか戸惑う方も多いかもしれませんが……「大落」と「古」と「利根川」に分けてみると、比較的読みやすくなり意味も理解しやすくなるはず。まずはこの3つの言葉をなぞるかたちで、その意味や歴史を紐解いていきましょう。

まず「古」い「利根川」という漢字からもわかるように、昔この川は利根川の本流でした。江戸時代、利根川をはじめとする複数の河川の瀬替えや分離、統合等の事業がおこなわれ、その一環として実施された「利根川の東遷」で利根川の流路は東側へ。海との合流地点が、東京湾から銚子沖の太平洋へと大きく変えられたのです。こうした東遷の動きによってこの川は利根川の本流ではなくなり、現在の利根川水系中川の支流になりました。

名称の冒頭についている「大落(おおおとし)」は、「大きな農業排水路」という意味。利根大堰からの水が、農業用水が流れる埼玉用水路や葛西用水路等を経由して流れ込んできます。このため農業が盛んな4月~10月は豊富に水が流れますが、11月~3月になると水量は大きく減少するんですよ。

古利根堰と首都圏外郭放水路で洪水を防ぐ。

利根川本流には巨大な堰「利根大堰」がありますが、実は大落古利根川にも「古利根堰(ふるとねぜき)」という堰が存在しています。

これは大落古利根川の水位を調整するために設置された施設で、最初に設置されたと記録されているのは1630(寛永7)年。洪水防止のためにダムのように川の流れを制限し、隣を流れる逆川(さかさがわ)へ水を逃す役割を担っています。また稲作が開始される5月頃には、川から水を引き込むことで農業用水の確保もしているんですよ。

また、大落古利根川が関連する大型の施設といえば「首都圏外郭放水路(しゅとけんがいかくほうすいろ)」。地底50mを流れる世界最大級の地下放水路で、大落古利根川や中川、倉松川、18号水路、幸松川といった中小河川が洪水となったときに、その水の一部をゆとりのある江戸川へ流す役割を担っています。

幻想的な景色で川と親しむ。

近年では、埼玉県・杉戸町・宮代町が連携し、階段護岸や遊歩道の設置を軸とした親水護岸を整備しました。毎年8月には、古川橋~清地橋の一帯で「古利根川流灯まつり」がおこなわれ、大勢の人々が集まり川に親しめる場所として活躍しています。

この「古利根川流灯まつり」は、杉戸町の夏の風物詩として有名なイベント。日本最大級の畳一畳分もの大型灯籠が川面を埋め尽くす、幻想的なおまつりです。しかもその灯籠は、一つひとつが町民の手づくりで、釘は使われていないそうですよ。

2021年までは新型コロナウイルス感染症の流行にともない中止が続いていましたが、2022年には規模を縮小して復活しました。まさに天の川のような絶景を一目見ようと、県内外から多くの観光客が訪れるイベントとして、今後も引き継がれていくことでしょう。

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