「とんぼのめがねはみずいろめがね・・・・・」と童謡にもなっている、私たちに身近なトンボ。
トンボは水の中にすむ昆虫でしょうか?

答えは、見てわかるように、成虫は水の中にすむ昆虫ではありません。
でも、幼虫は、水の中にすむ昆虫です。

そして、成虫は水の中ではありませんが、水辺でよく見かける昆虫です。
もちろん、自由に飛びまわれるので、水辺でない場所でも見かけるトンボですが、どうして、水辺でよく見かけるのでしょうか?
トンボは幼虫の頃は水の中ですごし、水辺で羽化し、水辺などで交尾をして、水の中に卵を産みます。
そのような理由でトンボは水辺でよく見かけると言われています。

水辺だけでなく、森も林なども必要

しかし、種類にもよりますが、基本的に水辺だけあればトンボが生きていけるわけではありません。
トンボがすむ水域周辺には、トンボが夜に休める林、草地、エサをとったり、卵を産むことのできる場所も必要となります。
このように必要な自然環境がトータルで整うことこそトンボが生息するためのポイントとなるのです。

多様なトンボの幼虫ヤゴ

ヤゴのすむ水辺環境により、種類もかわる

水の中で幼虫時代を過ごし、空中でくらすトンボ。
私たち人間を基準に考えると、「こどもの頃は水の中、大人になったら水の外でくらす。」これってとても特殊なことに思えると思いますが、こういった生態の多様性を知ることも生き物を勉強する醍醐味だと考えています。
さて、ヤゴの生息環境ですが、種類によってヤゴがすきな生息環境は、池や沼、田んぼなどの止水環境と川などの流水環境に大きく分けることができます。
川などでは、上流・中流・下流・汽水域などでも種類がかわってきますので、ヤゴを知ることで多様な水環境を知ることができると言っても過言ではありません。

どうしてヤゴっていうの?

カブトムシの幼虫は「カブトムシの幼虫」
カマキリの幼虫は「カマキリの幼虫」
のように、特定の呼び方がないものが大半ですが、
トンボの幼虫は「ヤゴ」という成虫とは違う名前がついています。このほかにも「イモムシ」「ケムシ」「アリジゴク」などもあります。
この正確な分類基準はわかりませんが、私が思うに特徴的な生態や型をしているものに別名がついているのではないかと思います。
さて、それでは、どうしてヤゴとよぶのか?ですがこちらも諸説ありますが、有力なのが、「ヤンマの子(こ)」から来ていると言われています。
「イモムシ」「ケムシ」「アリジゴク」は見た目や生態を表した名前で成虫とは関係がありませんが、ヤゴに関しては、成虫の名前に由来しているという点が「とても面白いなー」と感じます。
ちなみにヤンマは、「オニヤンマ」「ギンヤンマ」などの主に大型のトンボの種類で、昔地域によってはトンボのことをヤンマと呼ぶ地域もあったと言われています。

どうしてトンボというの?

こちらも諸説ありますが、私が好きなのが「飛ぶ稲穂(とぶいなほ)」→「飛ぶ穂(とぶほ)」→「とんぼ」になった説。
どうしてこの説が好きかというと、田んぼ、ため池などのお米を作るために人間が作った水環境とトンボは、とても密接なつながりがあるからです。
私は、健全な人と生き物の共生は、
「人の都合で作った環境が生き物にも都合が良かった」
にあると思っています。
それこそが、近年話題のSDGsで謳われている「持続可能な開発」になると考えているからです。

人の都合で作った田んぼやため池がトンボにも都合が良く、多くのトンボが生息する国になった。
それでも、油断はできません。たまたまトンボが多く生息する環境を手にした日本ですが、
近年種類によっては、水質汚染や、開発による生息地減少、温暖化などにより数が減ってきている種もあります。
トンボが多く飛び交う環境を保つために、まずは、環境保護のために私たちができることを考え、身近なところから実践していくことが重要だと思います。

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この記事を書いた人

長谷川 雅彦

埼玉県在住。東京農業大学卒 埼玉県環境アドバイザー

2003年よりファーブル先生として昆虫の面白さ、不思議さ、命の大切さを中心に多くの親子を中心に伝える、ファーブル昆虫教室を実施。通算約10,000名以上の親子が参加をしている。

ファーブルお兄さんの信念は、「子供たちのなぜどうしてに最後まで付き合う事」 日々、子供たちと自然の中で接しながら子供たちの好奇心を発揮することをライフワークとしている。

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