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荒川の魅力にどっぷり浸かる2日間
2022年10月11・12日の2日間、長瀞・荒川を拠点に2つのイベントが開催されました。その名も「ラフティングリバークリーン」と「ULTRA A47」。昨年に引き続き、2つのイベントがタッグを組んだかたちです(昨年、A47はA80として開かれました)。
初日開催の「ラフティングリバークリーン」は、長瀞カヌーヴィレッジを起点とした清掃イベント。長瀞町地域おこし協力隊・清水勇多さん運営の「WITH RIVER」プロジェクトが主体となり、荒川のゴミ問題の可視化を目的として企画・運営しています。
そして2日目開催の「ULTRA A47」は、SUP(スタンドアップパドルボード)で荒川を下る、ダウンリバーレース。リバースポーツや荒川の魅力を伝えたいという想いから生まれ、今回で2回目の実施となりました。今年は長瀞を出発し、47km先の北本のゴールを目指します。
本記事ではこの2イベントの様子をご紹介していきます!参加者たちの充実感にあふれた笑顔写真とともに、ぜひ活動内容をチェックしてみてください。
昨年実施の様子はこちら>「リバークリーン@荒川」「ULTRA A80」
イベント概要
《ラフティングリバークリーン》
・日時:2022年10月11日(火)
・参加者:総勢18名
ラフティングメンバー>声かけや募集告知を見て集まった、東京都内にお住まいの方、町内事業者、役場職員有志など12名
SUPメンバー>翌日のレース出場予定選手、カヌーヴィレッジ長瀞スタッフの計6名
・主催:WITH RIVER
・共催:ULTRA A47
・協力:SAITAMAリバーサポーターズ、長瀞町役場
・協賛企業:カヌーヴィレッジ長瀞
《ULTRA A47》
・日時:2022年10月12日(水)
・場所:荒川 長瀞〜北本(玉淀湖を除く)
・参加者:22名
・主催:ULTRA A47実行委員会
・協賛:キーン ジャパン
・協力:株式会社アスレプランニング、SAITAMAリバーサポーターズ
Jeep、Breakerout、Stohlquist、マーシャス、Ultra C、Sport Tracking Lab、カヌーテ、
カヌーヴィレッジ長瀞
・後援:長瀞町観光協会
ラフティングもゴミ拾いも、いっぺんにエンジョイ!
《ラフティングリバークリーン編》
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まずは1日目のラフティングリバークリーンの様子をレポート!この日はお天気に恵まれ、暖かく過ごしやすい日になりました。
参加者たちは、会場であるカヌーヴィレッジ長瀞に集合。安全管理の説明を受け、ウェットスーツ・ライフジャケット・ヘルメットをそれぞれ着用します。
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活動スタートに先立ち、WITH RIVERの運営者である長瀞町地域おこし協力隊・清水勇多さんより、この企画に込めた想いが伝えられました。
「近年、地球温暖化などの影響で異常気象が増えてきています。このままでは川で遊べるのが当たり前じゃなくなるかもしれません。そんな中、今回のリバークリーンが環境問題に目を向けるきっかけとなればありがたいです!ぜひ川を楽しんで、長瀞をキレイにしていってください」
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さあ、バスに乗っていざ荒川へ!SUPレース出場選手やカヌーヴィレッジスタッフはSUPで、その他の参加者はラフティングボートで川を下ります。
ラフティングボートに挑戦する参加者たちは、オールの使い方や川へ落ちた際のボートへの上がり方、ボート上側からのヘルプ方法など一通りのレクチャーを受け、グループごと漕ぐ練習にも取り組みました。複数人で乗るボートのため、他の人に当たらないようオールのTグリップから手を離さないことが重要です。
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みなさん慣れてきたところで川下りにチャレンジ。白波が立つほど流れが速いスポットもあり、スリル満点です。
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長瀞の大自然の中、ボートやSUPで川を下る魅力を味わったところで……ゴミが溜まりやすいスポットに到着。岩場に上陸し、袋片手にゴミを回収します。ボートがいっぱいになってしまうほどの量に「こんなにゴミが多いなんて!」と驚きの声も。
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ゴール地点でも同様にゴミを拾い、最後は分別作業へ。どんなものが落ちていたのかを知る、大事な作業です。集まったゴミの重さは30kg超!実際にその中身を見てみると、ペットボトルを筆頭に、洗剤容器、たばこ、サッカーボール、バケツ、鉄くず……とさまざまな種類のゴミが大量に。中にはサンダルといった川遊びスポットならではのゴミもありました。
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今回の活動によって少しキレイな姿を取り戻した長瀞・荒川。レースが安全に気持ちよく実施されることを願いながら、明日のレースへとバトンをつなぎます。
参加者・主催者コメント
会社の同僚と参加した女性3名
「WITH RIVERの取り組みに共感し、現場を知ってみたいとの想いで都内から参加しました。言葉を選ばずに言うと……ゴミ拾いは宝探しみたいな感覚。ずっと前から放置されていたであろうゴミも多く残念ではありましたが、それを取り除く爽快感もあり活動自体はとても楽しめました。ラフティング中、ガイドの方から教えてもらった『どのようにゴミが流されてあそこに溜まってしまうのか』の説明も興味深かったです。楽しみながら環境問題を学べるって、とても素晴らしい活動ですよね。もっと普段からゴミのことを意識して生活してみたいと思います」
主催・WITH RIVER清水勇多さん(下記写真 一番左)
「こうしたリバークリーン活動をはじめたのは、長瀞へ遊びに来た方から『楽しかったけどゴミが多かった』と言われたことがきっかけ。それから2ヶ月に1回ほどのペースで、ラフティングと連携したリバークリーン活動を継続してきました。こうしてまずは、川遊びに親しんでもらう中でリバークリーンも一緒に楽しんで取り組んでもらえるようになったら嬉しいですね」
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緩急激しい47kmレース!4時間以上の大熱戦
《ULTRA A47編》
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さて、2日目はいよいよULTRA A47!SUPで荒川を下るレースです。
今回のコースは長瀞〜北本の47km。途中の寄居町にある玉淀湖は流れがなくSUPでの下りが難しいため、ここを第一のゴールに設定。SUPを降りかわせみ河原へ移動して再スタートする、というコースになっています。(ちなみに海外では700kmにも及ぶロングレースがあるそう!)
気持ちいい秋晴れの中、初参加の方から連続出場の選手まで、総勢22名が集合。選手同士で久しぶりの再会を喜ぶ様子も見られました。
さて、レース開始前に重要となるのは「ボード選び」です!第一ゴールまでは流れが激しく、再スタート以降は緩やかな流れが続くのが今回のコースの特徴。どの地点で強みを発揮するボードを選ぶかがひとつのカギとなります。急流で強さを発揮する「短めボード」か、緩やかな流れのときにスピードを出しやすい「長めボード」か……この時点で戦いはすでにはじまっているようです。
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ボード選びを終え、待ちに待ったレースがスタート。合図が鳴ると、選手たちは一気に川へ!まずは、急な流れがメインの長瀞ゾーンを通過するのがミッションです。
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途中、落水してしまう選手もいたようですが……無事、全員が第一ゴールへ到達しました。次のゾーンは、流れが緩やかな分パドルをしっかり漕ぐ必要があるコース。すでにお疲れ気味の選手も見られますが、これ以降のコースの方が長いですよ〜ファイト!
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47kmの最後には、川から上がりボードとパドルを担いで土手上のゴールへ向かいます。4時間以上も水上で漕ぎ続けた身体には、非常に辛い負荷ですが……どうにか残された力を振り絞る選手たち。ゴールテープの先では、疲労と達成感が入り交じった表情がたくさん見られました。
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通常、全出場者のうち3分の1程度の選手が時間内にゴールできず、失格となってしまうこのレースシリーズ。しかしなんと今回は、参加者全員が最終ゴールに到達できました!水量や天候がよかったこと、短めのコース設定だったことがこうした結果を生んだようです。
レース結果の集計中には、選手と応援に訪れた人たちみんなでヨガを体験。芝生の上でめいっぱい身体をのばし、とても気持ちよさそうです。
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そしてなんと、今回はリバサポ企業マッチングとして株式会社アスレプランニングさんよりキッチンカー2台が出店!ローストビーフ丼やさまざまなフレーバーのフライドポテトが大好評で、選手たちのペコペコの胃袋を温かく満たしていました。
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和やかな時間を過ごしたあとは、男女部門ごと上位3名の表彰とタイム発表を実施。トップのタイムは、男子部門が4:05:45(五十嵐 好紀 選手)、女子部門が4:51:06(大森 望 選手)でした。
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男子優勝者の五十嵐選手は、実は昨年も優勝した選手。一方女子優勝者の大森選手は、今回が初めての出場だそう。
レースを振り返り、2人からはこんな言葉が聞けました。
五十嵐選手
「序盤はとても緊張していましたが、ひと漕ぎひと漕ぎに集中して前進していきました。特に玉淀大橋より下流は流れが穏やかなので、漕ぐのがキツかった印象です。1人になる時間も多く、自分との戦いでもありましたね。昨年もですが、釣り人からの声がとっても温かくイヤな顔をされる方が少ない。周りからの声援がとても励みになりました。荒川はとてもイイ川だなと思います。」
大森選手
「昨年はサポートとしてレース観戦をしていたんです。でも今年は自分も出場してみたいと思ってエントリーしました。非常に楽しかったです!」
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主催者コメント
実行委員会会長・藤村育三さん
「素晴らしいレースでした!昨年、女子は一人もゴールできませんでしたが、今回は全員がゴール。女子の初代優勝者も決まりました。来年も企画したいですね。ぜひスタッフとして参加してくれた方も、来年は選手として出場してみてもらえたらいいなと思います。そして、関わった選手・スタッフがリバーSUPの伝道師となって、リバーアクティビティの素晴らしさを伝えていってほしいです」
天候にも恵まれ、笑顔いっぱいで幕をとじたULTRA A47。前日のリバークリーンと合わせ、参加した方、応援に訪れた方、サポートしたスタッフメンバーなど、ここに集まったみんなが、荒川やリバースポーツの良さに魅了された2日間でした。