基本情報
水系 | 利根川水系 |
種別 | 一級河川 |
延長 | 87.4km |
流域面積 | 407k㎡ |
県を分かつ、清く美しい神の川。
神流川(かんながわ)は、群馬、埼玉、長野の県境が接する三国山に源を発する一級河川。途中で下久保ダムを通りながら群馬県と埼玉県の県境を走り、埼玉県上里町で利根川支流である烏川(からすがわ)へと合流します。
古くは「カミノ川」と呼ばれていたという神流川。武蔵20余郡の北の果て、「上」の国から流れる川の意と言われています。そこから「神(カム)の川」、そして「神名」に転じたことが今の名の由来とされ、「感納」「甘奈」とも綴られてきました。
保全活動が積極的におこなわれてきたこともあり、神流川の源流は平成の名水百選に選ばれ、「関東一の清流」とも呼ばれています。
また戦国時代には、本能寺の変の直後に、厩橋城(現在の前橋)城主の滝川一益と、小田原の北条氏直や武州鉢形城主の北條氏邦らが、神流川をはさんで合戦を繰り広げました。舞台に基づきこれを「神流川合戦(神流川の戦い)」と呼んでいます。
レアなL字型ダムで、大量の水を司る。
埼玉県と群馬県の境にある、重力式コンクリートダム「下久保ダム」。洪水時の調節機能、生活用水や農業用水などに活用する利水機能、水力による発電機能などが備わっています。
下久保ダムの特徴は、珍しい「L字型」のダムであること!放流用の穴が空いている「主ダム」とそこに付随する低い「補助ダム」の2つで構成することにより、貯水量を多く確保しています。実際、通常の形のダムだと貯水量は1200万㎥であるのに対し、このL字型の場合は1億3000万㎥もの水を貯めることができるのです。
全国を探しても珍しいこのL字型により堤頂長は605mにもおよび、日本のコンクリートダムの中で最長を記録しています。
そして、この下久保ダムのせき止めによってつくられているのが「神流湖(かんなこ)」。「地域に親しまれ、地域にとってかけがえのないダム湖」として、ダム湖百選に選出されています。さらにこの湖はアユが繁殖する湖の北限。他にもヘラブナやワカサギなど25種類の魚の生息が確認されていますよ。
人々を魅了する見どころがいっぱい。
豊かな自然に恵まれた神流川には、美しい景色を楽しめるスポットがたくさんあります。
特筆すべきは、国の名勝と天然記念物に指定されている「三波石峡(さんばせききょう)」。下久保ダムから登仙橋までの約1.3kmに渡る美しい渓谷です。
ここで見られる緑、黄、白が織りなす美しい模様の三波石は、江戸時代から名石と呼ばれ、庭石として使われてきました。さらに「三波四十八石」といわれる48個の巨岩・奇岩には、一つひとつに名前が付けられているんです!どんな名が付いているのかを見ながら散策するのも楽しいですよ。
そして神流湖周辺を上から見渡すことができるのが、「城峯公園(じょうみねこうえん)」。神山の中腹、標高500mの高台にあり、首都圏自然歩道「関東ふれあいの道」のコースにも指定されている公園です。キャンプ場やバーベキューハウスなども整備されているので、景色を堪能するだけでなくアクティビティ拠点としても活用することができます。
暮らしと歴史に根ざし続けて。
上流の群馬県側では、桃の節句におこなわれる「お雛がゆ」や川の恵みに感謝するお祭り「お川下げ」といった、川にまつわる伝統行事が開かれています。このように地域の暮らしや歴史に深い結びつきを持つ神流川。これから先も、美しい自然とともに人々の暮らしを見守っていく、清き存在であり続けることでしょう。