水上で咲き誇る、色鮮やかな花々。

梅雨の時期を迎え、ジメジメとした日が続いていますね。この季節のどんよりとした空気に華やかさを与えてくれる存在といえば……睡蓮(スイレン)と蓮(ハス)の花!どちらも池や沼などに群生する水生植物です。

見た目や名前が似ているので区別が付きにくい睡蓮と蓮ですが、いくつか見分け方があります。そのひとつが「水面と花の距離」の違い。

睡蓮
蓮(提供:古代蓮の里

睡蓮の花は水面近くで開花するのに対し、蓮の花は水面から1m以上の高さで咲きます。画家モネの描いた『睡蓮』も、池の水にそのまま浮かぶように描かれていますね。

このほかにも葉っぱや花びらの形、開花時期など、見分けるポイントはいくつかあるので、観察して異なる点を探してみるとおもしろいかもしれません。

ということで今回は、埼玉県内で睡蓮や蓮が楽しめる3つのスポットをご紹介します!

野鳥と一緒に睡蓮を楽しむ「見沼自然公園」。

1つめに紹介するのは、たくさんの睡蓮が見られるスポット「見沼自然公園」。自然に恵まれた湿地エリアで、多く訪れる野鳥と植物を同時に観察することができます。

また、さいたま市の「見沼田んぼ」エリアに点在する公園のひとつであり、東京ドームの面積の約2.3倍もの広大な敷地を誇るのも特徴的なポイントです。
(「見沼田んぼ」については、川図鑑【芝川】で詳細をチェック!)

睡蓮が鑑賞できるのは、この公園の中心にある小さな島のある池。雨水を利用して人工的につくられた修景池です。

6月頃になると赤系の花が咲きはじめ、7〜8月には白やピンクの花が見頃を迎えます。6〜8月にわたって長く睡蓮を楽しむことができるのは嬉しいですね。

数千年前の蓮がたっぷり見られる「古代蓮の里」。

続いては、行田市の「古代蓮の里(こだいはすのさと)」をご紹介。

ここで見られるのは、行田市の天然記念物に指定されている「行田蓮(ぎょうだはす/古代蓮)」!なんと1400~3000年前の蓮と言われ、花弁の数が少ない原始的な形態を保っています。

約2000年前、たくさんの水生植物が茂る湿地帯だった古代蓮の里エリア。この行田蓮も同じくここに咲いていたようですが、のちに蓮の実が地中深くまで潜ってしまったそう。

時は過ぎ……約50年ほど前におこなわれた建設工事の際、偶然その種子が出土!自然発芽し、池に開花している姿が確認されました。

現在では、池一面に行田蓮をはじめとした42種類12万株の蓮が広がっています。

色は、ピンクや白、黄色など色とりどり!6月中旬〜8月上旬に見頃を迎えます。なお、蓮の花が咲いている様子が見られるのは朝の7〜9時頃なので、早起きして足を運ぶのがオススメです◎

他にも、園内には水生植物園、水鳥の池、牡丹園、梅林、桜の木のあるお花見広場があるので、年間を通して四季折々の自然の姿を楽しむことができますよ。

提供:行田市

さらに7月中旬〜10月中旬には、古代蓮会館展望室から「世界最大の田んぼアート」も鑑賞することができるんです!

まさに、お米の産地である行田市ならではの取り組み。色彩の異なる複数の稲で、キャンパスに見立てた水田に絵や文字が表現されています。

地道につながれてきた蓮の命「原市沼」。

最後にご紹介するのは、上尾市と伊奈町の境にある沼「原市沼(はらいちぬま)」です。

沼の水の流入元・流出先は、ともに原市沼川。そのまま綾瀬川へとつながっています。広い湿地帯であるため、昔は城の自然の外堀としての役目も果たしていました。

実はここでも、先ほど紹介した「行田蓮」がたくさん咲きます。行田から種を譲り受け、ボランティアの「原市沼を愛する会」の方々がこれまで地道に増やしてきました。

咲きはじめるのは6月下旬頃ですが、見頃は7月中旬〜8月初旬あたり。こちらも朝早くから咲くため、朝6〜9時頃に見に行くのがベストです。

近くを東北・上越新幹線が通る沼ですが、カエルやメダカなどにもお目にかかれるのどかな隠れスポット。行田蓮以外にも、ハンゲショウやコウホネ、ブラックベリーなど、湿地に咲く花や個性的な植物も一緒に鑑賞できますよ◎

梅雨時期から夏にかけて水辺を華やかに彩る花々は、見る人の心をパッと晴れやかにしてくれるはず。ぜひ、現地へ訪れてみてはいかがでしょうか?

◎スポット基本情報◎

―見沼自然公園―
▼住所
埼玉県さいたま市緑区南部領辻 450-1

▼アクセス
バス:バス停「締切橋」より徒歩5分
駐車場あり

―古代蓮の里―
▼住所
埼玉県行田市小針2375-1

▼アクセス
バス:バス停「古代蓮の里」下車すぐ
車:東北自動車道「羽生」ICより約25分
駐車場あり

―原市沼―
▼住所
埼玉県上尾市原市2081-20

▼アクセス
電車:埼玉新都市交通「沼南駅」から徒歩5分

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