越辺川、そして入間川へと水をつなぐ3つの滝。
「黒山三滝(くろやまさんたき)」は、埼玉県越生町にある県立黒山自然公園内の魅力スポット。上下二段の構造を成す男滝(おだき)・女滝(めだき)と、そのやや下流に位置する天狗滝(でんぐだき)の3つの滝で構成されています。
上段の男滝は11m、下段の女滝は5m、そして天狗滝は14mの高さから、越辺川(おっぺがわ)の支流である三滝川(さんたきがわ)へと流れ落ちていきます。黒山の奥に源を発した川の水は、三滝川を経て一級河川の越辺川に。そこから埼玉西部を流れ、都幾川や高麗川の水を集めながら入間川に合流していくのです。
天狗に会える、年に一度の行事も。
室町時代に山岳宗教修験道の拠点として開かれ、広く信仰を集めたと言われる黒山三滝。
毎年7月の第1日曜日には、天狗を先頭に山伏や滝乙女などの行列が熊野神社から男滝・女滝までを行進する「道中参進」や、男滝・女滝の前での「滝清めの儀」、「山伏の滝入りの儀」などといった、「黒山三滝滝開き」が開催されます。
神主、巫女、僧侶、修験者、天狗によって執り行われる古式ゆかしい儀式で、一般見学もおこなわれているんですよ(2021年は、新型コロナウイルスの影響により関係者のみで開催されました)。
時代を超えて人々を楽しませる絶景。
黒山三滝の魅力は、何といっても「どの季節でも美しい景色に出会える」こと!
春は新緑、夏は清涼、秋は紅葉、冬は雪景色……と表情を変え人々を楽しませてきたこの地は、「日本観光百選 瀑布の部」でも第9位に選ばれ、多くの県民や観光客に親しまれてきました。
特に秋の紅葉スポットとしても名高く、上下に分かれる滝と、男滝・女滝下の「夫婦橋」の朱色、そして視界いっぱいに広がる紅葉の組み合わせは、格別に美しいと評されています。11月下旬頃に訪れると、見事に色づいた紅葉にお目にかかることができますよ。
また男滝・女滝近くの駐車場付近にはお休み処があり、ニジマスやイワナの塩焼きをいただきながら景色を堪能することも、釣り場でマスを自分で釣ることもできるんです!目で、鼻で、舌で、耳で、肌で……黒山三滝エリアの魅力をたっぷり味わえますよ。
滝を中心に広がる、自然のいとなみ。
昭和26(1951)年には、この黒山三滝を中心とする広い地域が県立黒山自然公園に指定されました。埼玉県の中央に位置するときがわ町、越生町、毛呂山町の3町にまたがり、こけむした古仏がたたずむ峠路や鎌北湖などのたくさんの見どころで構成されています。
ハイキングコースも複数用意されており、木々に囲まれた道「奥武蔵グリーンライン」や、源義経や武蔵坊弁慶が落ち延びる際に眺望に感動して何度も振り返ったとされる絶景地「顔振峠」なども楽しむことができます。
新型コロナウイルスの感染対策をしながら、広大な自然を全身で味わってみてはいかがでしょうか。きっとどの季節に訪れても、心に癒やしを与えてくれますよ。
◎スポット基本情報◎
▼住所
埼玉県入間郡越生町黒山957
▼アクセス
公共交通機関:JR八高線・東武越生線 越生駅から川越観光バスで25分→バス停「黒山」から徒歩15分
自動車:鶴ヶ島IC・東松山ICから車で40分
▼駐車場
黒山三滝町営駐車場(無料):23台(越生町黒山958-1 滝まで15分程度)
全洞院前町営駐車場(無料):10台(越生町黒山674 滝まで20分程度)