2025年2月15日、「長瀞ボランティアツアー〜竹林整備と竹あかり製作〜」が開催されました。主催は、長瀞町で活動している「長瀞活性化環境整備ボランティア716MAKERS(以下、716MAKERS)」。観光とボランティア活動が一体となった本イベントでは、竹林整備・竹あかり製作・岩畳散策ツアーの3つのプログラムを実施。長瀞が抱える地域課題への理解を深めながら、その自然の豊かさを体感できました。今回のレポートでは、参加された皆さんの声などを交えながら、イベントの様子をご紹介します。

イベント概要

・日時:2025年2月15日(土)10:00〜15:00
・参加者:13名
・主催:長瀞活性化環境整備ボランティア716MAKERS
・場所:長瀞町 上長瀞地区 荒川橋梁付近

新たな地域交流のかたちをつくり、長瀞の美しい景観を守っていきたい

国指定の名勝及び天然記念物である「長瀞」。豊かな自然が広がる一方で、荒廃竹林の拡大による景観の悪化が進んでいます。この問題に2020年から取り組んでいるのが、716MAKERSのみなさん。今回のイベントもその活動の一環です。まずは、進行役を務める伊藤さんに日頃の活動とイベントの趣旨について伺いました。

「私たちは長瀞エリアの河川沿いで竹の伐採や下草刈りなど、荒廃竹林の整備をしています。また、間伐した竹を竹あかり製作に再利用し、宝登山や月の石もみじ公園でのライトアップに活用するなどの活動も行っています。ただ、地域の高齢化が進み、従来のように竹林の整備を続けるのが徐々に難しくなってきました。そこで、私たちの活動を長く続けていくために、地域外の人たちの力も借りようと考えたんです。観光で訪れた方に長瀞の課題を知ってもらい、解決に向けたお手伝いをしてもらう。そして、参加者の方にも『いい経験ができた』と思ってもらえるようなツアーにできたらWin-Winですよね。そんな想いで、このイベントを企画しました」

埼玉県長瀞げんきプラザのみなさん

イベントは「埼玉県長瀞げんきプラザ」のスタッフによる座学からスタート。竹の成長が早い理由や繁殖力の強さ、荒廃竹林が長瀞の景観に与える影響や整備の必要性について、手書きのイラストを使ってわかりやすく解説してくれました。

解説が終わると、埼玉県長瀞げんきプラザのみなさんがつくった竹細工を紹介。箸やスプーンなどのカトラリーをはじめ、トングやスピーカーなどの多彩なアイテムが並びます。「こんなものまでつくれるんだ!」と参加者も興味津々。竹製スピーカーの温かみのあるサウンドには、「おお!」と驚きの声が上がりました。

竹林整備スタート!荒れた竹林を再生しよう

イベント当日は雲一つない快晴。参加者はヘルメットを装着して、荒川近くの竹林へ歩いて向かいます。

整備された竹林はほどよく風が抜け、日がたっぷり差し込みます。一方で、人の手が入っていないエリアは竹が密集し、じめじめと薄暗い雰囲気。「一度間伐しても、半年も放っておくとすぐ新しい竹が生えて元通りに。だから定期的な整備が必要なんです」とのこと。

「竹と竹の間隔は、傘をさせるくらいがベスト」と教えてもらい、両手を広げて適切な間隔を確認しながら伐採する竹を選びます。整備は「根元からのこぎりで切る」「枝葉を落とす」「運びやすい長さに切る」の繰り返し。竹を切った後は「倒れるよー」と周りに呼びかけ、怪我をしないように注意しながら作業を進めていきます。

この日の最年少参加者は小学生4年生の男の子。スタッフ付き添いのもと、どんどん竹を切っていきます。

約2時間の整備作業で、竹林は見違えるほどスッキリしました!「こんなに変わるんだ!」「大変だったけど楽しかった」と参加者のみなさん。最後はきれいになった竹林をバックに記念撮影しました。

次は竹あかり製作!ドリルで穴を空けて模様をつくろう

竹林整備の後は集合場所へと戻り、今度は竹あかり製作を始めます。この日つくったのは、716MAKERSが月の石もみじ公園や宝登山で行っているライトアップイベントで使う「展示用」と、参加者のみなさんが持ち帰る「お土産用」の2つ。716MAKERSが間伐した竹を再利用して、まずは展示用の竹あかりからつくっていきます。

竹あかりの模様が印刷された用紙を竹に貼り付け、ガイドに沿ってドリルで穴を開けていきます。竹とドリルが垂直になるよう慎重に。ガイドからはみ出さないように、みんな真剣な表情で黙々と作業しています。

作業が一段落したら、お昼休憩へ。秩父名物「豚みそ」のお弁当と、施設スタッフがつくってくれたアツアツの豚汁をいただきました。豚汁には七味唐辛子が入っていて、冷えた体もぽかぽかに。

自分だけの竹あかりをつくろう

午後は、それぞれ好きな柄を選び、お土産用の竹あかりを製作。午前中の作業でコツをつかんだ参加者は、複数の柄を組み合わせたり、工夫を凝らしたりしながら、オリジナルの作品作りに熱中していました。

竹あかりが完成したら、ライトを入れて点灯チェック。やわらかな光がこぼれ、真剣に作業していた参加者も仕上がりを見て思わず笑顔に。満足そうな表情が印象的でした。

最後は岩畳散策ツアーで、長瀞の自然と歴史を学ぼう

イベントの締めくくりは、長瀞観光ガイドによる岩畳ツアー。岩畳の成り立ちや歴史、地層にまつわる豆知識を聞きながら長瀞駅方面へ向かいます。

「長瀞四十八沼」と呼ばれる岩畳の上に点在する小さな水たまり。実際に48個の水たまりがあるわけではなく、昔の人が「たくさんある」という意味で「四十八」と呼んでいたのが名前の由来だそう。

岩畳で見られる最大のポットホール。ポットホールとは、硬い川底や河岸の窪みに石が入り込み、激しい水流で回転しながら岩を削ってできた穴のこと。 ここがかつて荒川の川底だったことを物語っています。

川沿いの豊かな自然を堪能しながら長瀞駅周辺へ到着し、15時過ぎにツアーは終了。この日はロウバイがちょうど満開を迎えており、花のいい香りがほのかに漂っていました。

ボランティアツーリズムを通じて、地域課題の周知と解決を目指す

地域に貢献しながら観光を楽しむボランティアツーリズム。竹林整備や竹あかり製作を通じて、長瀞の自然に触れ地域の方々と交流することで「食べる・見る・遊ぶ」だけではない魅力を体験できました。

最後に、主催の伊藤さんにイベントを振り返っていただきました。

「環境学習や竹林整備、伐採した竹の活用など、さまざまなかたちで長瀞の自然に触れていただけたと思います。みなさんのおかげで川沿いの景観もきれいになりました。普段は黙々と作業を進めることが多いのですが、今回はボランティアとして参加された方々と一緒に活動できたことで、いつもとは違う楽しさがあり、とても充実した時間を過ごせました」

竹林整備・竹あかり製作・岩畳散策ツアーと、3つのプログラムが詰まった今回のイベント。伊藤さんは「今後も継続して続けていきたい」と話します。また、716MAKERSは竹あかりを使ったイベント出店やライトアップ も行っています。興味のある方は、ぜひ716MAKERSの活動をチェックしてみてください。

長瀞活性化環境整備ボランティア 716MAKERS公式サイト
https://sites.google.com/view/716makers/

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