2024年に連載させていただいた「川のある町 埼玉」に続いて、今年は川のある町に「音楽」という言葉をキーワードにした2回の連載を、させていただくことになりました!

今回の川のある町は小川町です。周りが緑豊かな外秩父の山々に囲まれ、市街地の中央には槻川が流れ小川和紙や小川絹をはじめ、建具や酒造などの伝統産業で古くから栄えてきた町です。

その小川町で2024年12月から2025年11月まで、パソコンで作る音楽講座が無料で開催されるということで、参加させていただくことになりました。

主催されたのは(株)SGNの代表取締役、脇元寛之さん。

システム開発業を本業にしながら、2011年に閉校した上野台中学校の再利用プロジェクトのひとつとして、約1年間という期間を設けてパソコンで作る音楽制作講座を開催することになりました。

脇元さんは2012年に小川町に移住されて、本業の傍らTOMOKI++名義で、ボーカロイド楽曲(歌声合成ソフトを使って作った楽曲)を公開し、ドキュメンタリー映画に音楽もご提供されています。

以前は瓢箪の栽培もされていたそうで、講座の初日にも瓢箪を持って来てくれました。今では栽培する畑を探されているそうですが、瓢箪を使って音楽を流すためのスピーカーを作るプロジェクトも計画中だそうです。

瓢箪の中では、音が独特な感じで共鳴するそうで、何より「天井から吊り下がった瓢箪から、音楽が流れて来たら面白いでしょ!」と話される脇元さんの笑顔が素敵でした。

この講座は、楽器が弾けない人でもパソコンを使って音楽制作(DTM:デスクトップミュージック)が出来るようになる、全6回の無料講座です。

今回は事前アンケートで、カリキュラムを2種類(初心者コースと中級者コース)に分けた形で講座はスタートしました。

「コードって何?キーって何?」という初心者コースと、「コードくらいはわかる」という中級コースの2択。

私は音楽を聴くことが好きで、楽器は以前クラシックギターを5年間習ったことがあったので、一応中級クラスで始めてみることにしました。

 第1回目:音楽制作ソフト「DAW」を使ってみよう。

 第2回目:録音をしてみよう。

 第3回目:作曲をしてみよう。

 第4回目:高度な編集と仕上げ

 第5回目:音声合成ソフトに歌ってもらおう

 第6回目:作った曲を仕上げよう

講座の内容につきましては、下記URLをご覧ください。

https://dtm2024.sgnx.co.jp/

講座中に使用したスライドや当日の動画につきましては、講座受講生のみの公開となりますのでご了承ください。

今回のパソコン音楽制作の主催者である、脇元寛之さんのご紹介をさせてください。

脇元さんは、小川町にある現在は閉校した上野台中学校の教室をオフィスとして、コンピューターのプログラミングを作る会社を営まれています。

もともとギターで音楽を作ることが好きだったことと、パソコンを使った仕事をされることが相まって、それが自然な流れとなって今では、パソコンで音楽を作るということが主流になったそうです。

2017年からCDを作って販売もするようになっていくのですが、そもそも歌声合成ソフトによる楽曲制作を行うボーカロイドプロデューサーとしてコミュニテを運営していたこともあり、作り手やリスナーが集まる『ボカロ丼』を運営されて行くなかで、みんなで楽曲を持ち寄りながら、20枚ほどのコンピレーションアルバムを作られてきました。

https://info.vocalodon.net

今では会員が3000人ほどにもなったコミュニティーの仲間との音楽制作が、知識や技術を増やしてくれたということもあって、もっと音楽を作る楽しみを伝えたいという想いから、今回は小川町でのパソコンで作る音楽講座を、無料で開催することになったそうです。

「音楽はプロが作るものといった捉え方が日本にはあって、既存の音楽を演奏したりカラオケで好きな歌を歌ったりはするけれど、自分でオリジナルの楽曲を作るといった音楽の文化があまり根付いていないと常々思っていたんです。今ではネットの時代になって音楽を作る人が増えて来たように感じるし、パソコンの性能も時代と共に良くなって来ると、個人で買えるくらいのパソコンのレベルでも、音楽を充分作ることができるようになって来たと思うので、その方法を多くの人に知ってもらえたらと考えています。」と話す脇元さん。

小中学生時代から聴いていて好きだった音楽がYMOだそうで、音楽を作ってみようと思ったきっかけも、やはりYMO。パソコンではないにしても、機械的な音楽ではあったから、好きな音の再現にはやはりパソコンで取り組むのが適していて、時代と共にパソコンが進化してくれば、必然的に自分が作る音楽のクオリティも、上がってくるといった印象もあったそうです。

ご自分で作った音楽を聴くということにも、独自のこだわりを持つ脇元さん。いつからか瓢箪をスピーカーにして自分で作った音楽を鳴らしてみたいと思うようになったそうです。

「通販で買った瓢箪にスピーカーを取り付けて聴いてみたことがあったんです。瓢箪の大きさにもこだわりがあったので、自分で瓢箪を栽培していた時期もありました。BGMのようにただ流れているといった、自己主張しないような音楽を鳴らすには、瓢箪スピーカーは適していますね。音楽を流している部屋に、溶け込むような音を出してくれるんです。」

音楽は作るだけではなく、聴くという視点からも捉えている脇元さんの音楽思考に、私はとても興味を覚えました。

そして、脇元さんのこれからの音楽に対する夢を聞いてみると、

「ある空間の中に、大きさも形も違う色んなスピーカーを沢山置いて、自分も空間の中で移動しながら流れて来る音楽を聴いてみる。通常は、音楽を聴く人間は場所を移動することなく、スピーカーから流れて来る音楽を聴いていますよね。でも私が作ってみたい音楽は、聴く人も移動しながら、様々なスピーカーから流れて来る音楽を聴くというような、ひとつの楽曲だけれど、聴く場所によって今まで聴いたことことがないような、アンサンブルを持つ音楽を作ってみたいと思っています。」

新しい音楽の楽しみ方を想像させるようなお話に、脇元さんならではの、音楽の未来を見たような気がしました。

「音楽は右と左のスピーカーから出てくる音を、一定の場所で聴くといった恣意的なものだけではなく、もっと自由なものであれたらと思うんです。川の流れている音を歩きながら聴くといった感覚に戻るといったら、わかりやすいかもしれませんね。」

この脇元さんの言葉で、なんだかとてもスッキリしたというか、私自身腑に落ちました。

「川のある町と音楽」

今回の記事連載のテーマが、見事に着地したかのような瞬間でした。

「音楽は自由だ!」

その言葉には、音楽の聴き方を楽しみ方にアップデートしていくように音楽を作られていく、脇元さんの素敵な音楽哲学なのかもしれないとも感じました。

2024年12月から始まって、今年3月、5月、7月と講座を受講することで、作りたい音楽のイメージが出来て来ました。「川のある町と音楽」というテーマで訪れたこの小川町なので、町を流れている槻川の音を録音して、なんとなくイメージ出来た旋律をその川の音にあずけてみようと思いました。

町の様子を感じるがままに撮った写真も、その音楽にのせてみるのも楽しいかもしれません。

私の作ってみたい楽曲を脇元さんに伝えてみると、今年の7月で3歳になった娘さんの話を伺うことができました。

「娘は先日3歳の誕生日を迎えました。誕生日のプレゼントにカメラをあげたんです。実は私は写真を撮るのが好きで、写真部に所属しながらよく写真を撮っていたこともあります。その影響なのか娘も写真を撮るのが好きになったので、カメラをプレゼントしたんですよ。」と話す脇元さん。

カメラを持って写真を撮る娘さんを想像しながら、この町に来て音楽に触れて、川の音を記録しながら初めての音楽制作に取り組むというこのご縁に、心から感謝しました。

そして思わず脇元さんにこんなことを尋ねた私です。

「私は今、槻川の音を録音しながら今回の課題の音楽作りに挑戦していますが、もし宜しかったら脇元さんがイメージされる小川町の音楽を、槻川の川の音に重ねて作っていただくことはできますでしょうか?」

かなり図々しいお願いのような内容で、変な汗も出て来ましたが、

脇元さんが快く、「あ、いいですよ。」と言っていただくことが出来て感謝しかありませんでした。

川の流れのようにどこまでも繋がって行くようなこのご縁に、胸が熱くなりました。

次回の記事公開予定の11月には、仕上がった音楽を公開させていただきます。何より、今回の講座の主催者である脇元寛之さんが作られた、槻川の川の音にのせた音楽も公開させていただきますので、どうぞ楽しみにしていてください。きっとその音楽は、「川のある町と音楽」のテーマ曲になることと思います。

次回の記事公開は11月を予定しております。

皆さまそれまで、どうぞお元気でお過ごしください。

またサイトでお会いできますのを、楽しみにしています!

⚫️パソコン音楽制作講座 講師

脇元寛之/TOMOKI++

https://www.youtube.com/@SEKNIK

https://www.nicovideo.jp/mylist/14181463

http://info.vocalodon.net

幼少期から、公共教育機関で音楽を学ぶ。YMOに影響を受け、高校生から独学で作曲を始める。

2009年よりボカロP(ボーカロイドプロデューサー)として活動を開始。

2017年より歌声合成ソフトによる楽曲制作を行うプロデューサーやリスナーなどが集まる、マストドンサーバー「Vocalodon.net」を主宰・運営。多数のコンピレーションアルバムの制作に携わる。また専用のVSTプラグインの開発も行う。

⚫️写真&文

平野晋子(ひらのくにこ)

https://lightsource.my.canva.site/kunikohirano

https://www.facebook.com/kuniko.hirano.1/

フリーランスフォトグラファー&ペンネーム星日ト 奏(ほしひと そう)で、ショートストーリーを書いています。受賞歴あり。毎日の暮らしの中にある、ちょっとした風景を記録するのが好きです。

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