埼玉県の南西部に位置する志木市。面積は9.05㎢、東西に4.7kmと、全国6番目の小さな市で、東京都心まで約20分というアクセスの良さから、住宅都市・商業都市として発展してきています。
そんな志木市に昔から伝わるのが「カッパ伝説」。後編では、市内各地に点在するカッパの石像に関する制作秘話などに迫ります。
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市内には28体のカッパ像が存在
志木市には、様々な表情や仕草を披露するカッパの石像が数多くあります。その数、なんと28体!志木市観光協会が発行している観光マップ「しきしちいさなまちあるき」には、28体のカッパ像の場所が記されています。
市民の憩いの場として知られる「いろは親水公園」や市指定有形文化財「村山快哉堂」、志木駅、志木市役所など、市内のあらゆる場所に可愛らしいカッパ像が鎮座しています。
なお観光マップのPDFは、志木市ホームページ(https://www.city.shiki.lg.jp/site/hisyo/2129.html)よりダウンロードできます。
カッパ像28体のうち27体は、志木市本町で石材店を営む内田榮信(えいのぶ)さんが制作したものです。内田さんは、第2回志木市「いろは文学賞」大賞受賞作品『いろはがっぱ』を読んだことがきっかけで、カッパを石像で表現しようと考えたとのこと。昔からカッパ伝説が数多く伝わるほど、志木市とは縁の深いカッパをより地域に広めたいと考え、カッパの石像を作り始めたそうです。
カッパの石像を巡る~「番太郎」と「愛ちゃん」~
志木市内で最初に設置されたカッパ像が「番太郎」です。「番太郎」は、上宗岡一丁目、宗岡第四小学校の脇に佇んでいます。新河岸川沿いのコスモス街道を見に来た人たちに楽しんでもらいたい、また学校に通う子どもたちに慣れ親しんでほしいという思いからこの地に設置されたそうです。
志木市のホームページに掲載されている制作者の内田さんの話によると、「『番太郎』は、市内に設置したすべてのカッパ像の原点。友達が来るのをじっと待っているかわいらしさをだしたカッパ」なのだそうです。
「番太郎」という名前は平成18年11月、志木ロータリークラブ創立35周年記念事業の一環として公募して決定したもの。「コスモスが早く咲かないかな」と思って待っている男の子のカッパとして名づけられたそうです。
そんな「番太郎」の近くにはもう一体、別のカッパ像があります。名前は「愛ちゃん」。
「コスモスが咲く頃は、たくさん人が来るからいいけど、冬にポツンとひとりぼっちでいるカッパがかわいそう」という宗岡第四小学校の子どもたちからの声を聞いた内田さんが、ひとりぼっちの「番太郎」のために設置したそうです。
なお、この「愛ちゃん」には、志木市役所で働いているとある職員のきらきらした顔の表情や、その眼力に興味を持った内田さんが、その職員をモデルとして作成したものだそうです。
28体のカッパ像には一体一体に、地元の伝承や地域振興に込めた思いがたくさん詰まっています。志木市が川との関わりによって発展を続けてきたからこそ、今日までその「カッパ伝説」が根付いているのです。
ぜひ季節の風景とともに、カッパ像巡りをしてみては。もしかしたら本物のカッパに出逢えるかもしれませんよ…!?
■参考資料
・志木市ホームページ:志木ってどこ?
(https://www.city.shiki.lg.jp/site/hisyo/2149.html)
・志木市ホームページ:市内カッパ像めぐり
(https://www.city.shiki.lg.jp/site/hisyo/2129.html)
・志木市ホームページ:市内カッパ像めぐり 「番太郎」と「愛ちゃん」
(https://www.city.shiki.lg.jp/site/hisyo/2139.html)