埼玉県スポーツ協会と埼玉県ボート協会は1月13日、戸田市戸田公園の戸田漕艇場で、ローイング(漕艇)クリニックを開催しました。クリニックは、オリンピック種目でもあるボート競技のトップアスリートが中高生に指導する貴重な企画で、約50人の中高生が参加。ドローンやアプリによるボートの動作解析なども行われました。今回はローイングクリニックの様子を振り返ります。
選手から学生へ 技術の継承
クリニックにはNTT東日本漕艇部、明治安田生命ボート部、戸田中央総合病院ローイングクラブの選手が参加し、参加校のボート部員らに指導。NTT東日本からは、東京オリンピックにも出場した荒川龍太選手らが学生に教えました。
陸上では、リギングと呼ばれるボート部品の調整作業を学生らと実施。自身の体に合った調整が必要だと言い、学生らは選手からアドバイスをもらいながら調整を進めていました。
また、陸上トレーニングでは、船を漕ぐ際の体の使い方やコツなどを伝授。膝の角度など細かい点までアドバイスします。
その後、選手らは学生と一緒にボートに乗って出発。実際に水の上で指導する貴重な機会となりました。
データで見るボート
NTT東日本は今回のクリニックで、技術を生かした取組にも挑戦しました。
同社はドローンを使って撮影を実施。これにより、ボートのブレなどを確認できると言います。普段は陸上での定点撮影しかできませんでしたが、ドローンを使用することにより、進行方向側からの撮影なども可能になり、ボートの動きなど新たな発見につながることが期待されます。
また、ボートに専用のセンサを装着し、アプリを使ったデータの取得も行いました。アプリを活用することにより、艇の細かな動作計測が可能に。速度や航路などの詳細なデータをもとに自己分析ができます。
クリニックでは、選手と学生がデータを用いて自身の漕ぎを振り返る時間が設けられました。ひと漕ぎごとの艇のスピードや航路など細かいデータを見ながら議論を交わしました。
八潮高校3年生田辺偉楓さん(18)は「選手から話を聞いて、自分にはない感覚があると思いました。データで見るのは初めてだったので、今後練習で生かしていきたいです」と話してくれました。
NTT東日本漕艇部の宮浦真之選手(27)は「データで見ることで、普段は感覚で理解していたところに客観的な視点を入れることができました。(データで見ることで)自分の感覚が『実はこうだったんだ』と分かるので、非常に有意義な分析だと思います」と述べました。
今年はパリオリンピックも開催されます。みなさんもボート競技に注目してみてはいかがでしょうか。