川と地球がグッと身近に、面白くなる!遊びながら学べる体験イベント
「ロックバランシング」とは、その名の通り、石を絶妙なバランスで積み上げていくもの。手軽な遊びとして、また、アート作品として、幅広く親しまれています。必要なものは石だけ。つまり、川遊びを楽しむアクティビティとしてもうってつけですよね。今回は、そんなロックバランシングを親子で体験できるイベントが秩父郡の横瀬川で開催されるということで、その様子を取材してきました。
イベント概要
〜川遊びがもっと楽しくなる〜ロックバランシング入門
・日時:11/27(日) 10:30-13:00
・場所:NAZELAB(埼玉県秩父郡横瀬町横瀬1926)、横瀬川河原(ウォーターパークシラヤマ)
・対象:小学生以上どなたでも(親子でもお一人でも)
・講師:かねきのぶひろ(ロックバランシングアーティスト)、舘野繁彦(タテノイト代表・地球惑星科学者)
・主催:一般社団法人タテノイト
・後援:秩父まるごとジオパーク推進協議会
・協力:SAITAMA リバーサポーターズ
注目のスペース、NAZELABで石を学ぼう!
このイベントの特徴は、いきなり川に行って石を積むのではなく、集合場所にもなっているNAZELAB(ナゼラボ)で、石や地質、ロックバランシングの基礎知識などを座学で学んでいくところ。まずはこのNAZELABと、2人の講師をご紹介していきましょう。
NAZELABは、一般社団法人タテノイトが運営する拠点。学校でも家でも塾でもない小中学生の学びの場として、秩父エリアでも注目を集めています。常にさまざまなイベントが企画されているので、気になる方はホームページもチェックしてみてください。
NAZELAB – ナゼラボ –
NAZELAB – ナゼラボ – は、埼玉県横瀬町で始まる、学校でも家でも塾でもない、小中学生の学びの場です。 探求学習や自然体験など、自発的な学びを生み出す実験的な施設として、今後展開して行きます。
座学の講師を務めるのは、地球惑星科学者でもあるタテノイトの舘野繁彦さんとロックバランサーのかねきのぶひろさん。
まずは舘野さんによる石の種類や地質に関する講義から。秩父エリアの川にある石の種類や、その成り立ちから秩父エリアが昔は海だったことがわかるというお話へ。「川原に転がっている石ころ一つひとつにも壮大な地球の歴史が詰まっているんだ!」と思わせる内容に、大人も子どもも興味津々で聞き入っていました。
続いてはかねきさんの講義へ。ロックバランシングの魅力やおもしろさ、写真の撮り方、世界中で活躍しているロックバランシング・アーティストの紹介など、ロックバランシング初心者にとっては目からウロコのお話しがいっぱい。実際に石を積み上げながら、川の上流と下流での石の違い、石の選び方、不安定な石が倒れずに立つ理由、重量・摩擦・バランスの重要性などをわかりやすく解説してくれます。また、石を積んだ風景は、あくまで自分の風景なので、他人におしつけてはいけないし、石が積んであったら不気味(笑)だから崩して帰るように、と川を楽しむ上で守るべきマナーや注意事項なども教えてくれました。
「最初から上手くはいきません。僕だってたくさん失敗します。いろいろ試しながら楽しんでください」とアドバイスするかねきさんを先頭に、参加者のみなさんは徒歩数分のところにある横瀬川河原(ウォーターパークシラヤマ)へと向かって移動しました。
紅葉の中、思い思いに石を積む
この日の秩父エリアは抜けるような秋晴れ。紅葉シーズン真っ盛りの横瀬川河原で、参加者のみなさんは思い思いに石を集め、積んでいきます。ここからは写真と共に、イベントの様子をお伝えしていきたいと思います。
集めてきた石を組み合わせてバランスを探っていく参加者。手つきも表情も真剣そのもの。次第に集中力が研ぎ澄まされていきます。
細い石を組み合わせてつくり上げられた作品。倒れそうで倒れない不思議な佇まいは、見ているだけでも楽しくなります。
長靴を水浸しにしながら、夢中で石を積んでいた男の子。数時間でものすごい数の作品をつくり上げ、参加者のみなさんを驚かせていました。
かねきさんのロックバランシングを真剣に見つめる女の子。かねきさんは普段、海の石を使うことが多く、川の石にはまた違った面白さがあると教えてくれました。
かねきさん曰く、ロックバランシングでは、石の色、かたち、大きさを意識して積むとより面白い作品ができるとのこと。また、積む前に写真撮影をイメージして、予めカバンや箱などを配置してみてから、空や森など石が映える背景を想定しておくのもコツなのだとか。
かねきさんのように絶妙なバランスで作品をつくるのは難しいもの。「最初は簡単なかたちでも楽しみながら積めればOKですよ」と、かねきさん。参加者のみんなも楽しそうに思い思いの時間を過ごしていました。
石があればいつでも楽しめる!川遊びの新定番!
川があって、石があって、家族や仲間がいる。ただそれだけなのに、約2時間という時間があっという間に過ぎていきました。
無心で石を積みかさねる子どもたち、細くて不安定な石を組み合わせて、難しい作品づくりに挑む大人たち、たき火を囲んでマシュマロやサツマイモを焼いて楽しむ親子……ロックバランシング自体もそうですが、ロックバランシングを中心に、川という場所がいつもと違った楽しさのある場所に変わっていく様子も、このイベントならではだったように感じられました。最後に、みんなで積んだ石を崩してイベントは終了しました。
最後に、講師を務めてくれた舘野さん、かねきさんからいただいたコメントをご紹介しましょう。
舘野 今回のイベントは長野や横浜など県外からお越しいただいた方がほとんどでした。11月下旬にもかかわらず暖かですごしやすくてよかったです。石のルーツを理解しつつ、ロックバランシングを楽しむことで、いつもの川遊びの体験が変わる。そのきっかけになったんじゃないかなと思います。川に行けば石はいくらでもある。つまり、いくらでも楽しめるということですからね。
かねき 僕は普段、海岸でひとり静かに作品をつくることが多く、これだけたくさんの子どもたちと一緒にやることがないので、思いつきでわーっとやれる自由さを見せてもらえて「すごいなあ」って思いましたね。僕が初めてロックバランシングをしたときよりも、みなさんの方が何倍も上手でした(笑)。「先生がよかった」ということにしておいてもらえればうれしいです。地球の重力、石の摩擦力、それから軸……特に軸は目には見えない、まっすぐではない軸を、石に触れながら感じ取ることが大切なんです。ロックバランシングは石さえあればいつでもできる遊び。川は特にいろいろな石が集まってくる場所なので、その多様性の面白みもありますよね。
おふたりの言葉通り、石はみなさんの身近な川にも当たり前にある存在。そんな石の面白さ、奥深さに触れ、さらには地球の重力までも遊び道具にしてしまえるロックバランシング。これはもう、川遊びの新定番になるアクティビティなのではないでしょうか。みなさんも、かねきさんのInstagramやnoteをチェックしながら、ぜひチャレンジしてみてください。
かねきのぶひろさんの作品や活動はこちら
note:https://note.com/kaneki/
Instagram:https://www.instagram.com/kaneki_nobuhiro/